オーケストレーション
オーケストラ等、多くの楽器が必要な作品を書くとき、作曲家が全ての楽器を実際に精通しているわけでは無いので資料が必要になる。個々の楽器の特徴や奏法、音域、組み合わせるとどういう効果が得られるか等を体系的に纏めたものをオーケストレーションといい、古くはベルリオーズ、R.コルサコフから始まるのだが、僕も含めて現在の日本の作曲家の大半は伊福部昭さんの「管絃楽法」のお世話になっていると言っていいだろう。
この本が何故凄いのかというと、その膨大な楽器に対する知識と共に、単なる便利なノウハウが書かれた実用書の域を越えて、音響の発生の原理から始まって、オーケストラを有機的な構造物として体系的に捉えた書物だということだ。調べたわけではないが世界的に言っても他にこんな書物は無いだろう。その伊福部昭さんが亡くなった。この年代の作曲家は同郷の早坂文夫等、独学の人が多かった。にも関わらずこのような記念碑的な著作を残してくれたことは素晴らしいことだと思う。
ただ作曲家としての伊福部昭を評価することは、西欧的なスタンダードからはなかなか難しいことだと僕には思える。20世紀の国民楽派、オスティナートという視点から離れたところで彼の音楽を評価し直してくれる音楽学者か批評家の仕事が出てくると、この国の音楽状況は少し変わってくるのではないかと思うのだが。
Posted: 木 - 2月 9, 2006 at 03:42 午後